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雑談掲示板
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22:
Heinz Rolleke
[2025-01-30 22:12:57]
[×]
蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)
秋も深まり、街の片隅にひっそりとした古いアパートがあった。そのアパートには、夜になるとどこからともなくコオロギの鳴き声が響く。しかしその鳴き声は、秋の風情を感じさせるものではなく、聞く者に不気味な寒気をもたらすものだった。そして噂が広がる――その声を聞いた者は、いつしか「帰らぬ人」になる、と。
初心者がこのアパートに越してきたのは、学校に近く家賃が安いという理由からだった。築40年を超えるその建物は古びていたが、学生にはちょうどいい住処だった。
「夜になるとコオロギが鳴くけど、それがいいって人もいるのよね。」
隣に住む主婦がそう笑ったのを覚えている。しかし、初心者にとってその鳴き声は妙に耳についた。
夜、部屋で課題をしていると、どこからともなく「チッ……チッ……」という音が聞こえてくる。
「コオロギの鳴き声か。」
最初は気に留めなかったが、音は徐々に大きくなり、まるで部屋の中から聞こえてくるようだった。
不審に思い、初心者は音の発生源を探した。しかし、どこを見てもコオロギの姿はない。音は壁の中、床の下、さらには窓の向こうと、場所を変えながら続くのだ。
そしてある日、初心者は夜中に目を覚ました。部屋の隅から、はっきりと人の声のような囁きが聞こえたのだ。
「……出して。」
初心者は硬直した。その声は確かに、コオロギの鳴き声に混じっていた。
翌日、アパートの管理人に相談すると、彼は浮かない顔でこう言った。
「このアパートね、昔からちょっと噂があって……でも気にしない方がいいよ。」
管理人の言葉を聞いて以来、初心者はさらに恐怖を募らせた。毎晩鳴き続けるコオロギの音。そしてそれに混じるかすかな人の声――。
ある晩、初心者は決心して音を追いかけることにした。音が聞こえる方向に耳を澄ませると、それは窓の外にある古びた倉庫の方から聞こえてくるようだった。
倉庫に近づくと、扉の隙間から黒い影が動くのが見えた。中に入ると、そこには大量のコオロギがひしめき合い、まるで生きている絨毯のように床を覆っていた。
「……なに、これ。」
初心者が後ずさりした瞬間、コオロギたちの間から、人の手のようなものが這い出てきた。それはまるで助けを求めるように初心者の方に向かって伸び、次の瞬間、不気味な叫び声が倉庫中に響き渡った。
「出してくれ……!」
初心者は悲鳴を上げてその場を逃げ出した。しかし部屋に戻っても、コオロギの鳴き声は止まらない。それどころか、今度ははっきりと人の声が混じるようになった。
「代わって。」
「お前が、なんで。」
恐怖に耐えきれず、初心者はアパートを出る決意をした。しかし、最後の夜、初心者が眠るベッドの下から、人間の顔を模したコオロギが現れた。
その後、初心者を見たものはいなかった。部屋にはコオロギの死骸が無数に散らばっていたという。現在もそのアパートでは、夜になると不気味な鳴き声が響き、住人が一人、また一人と姿を消していく――。
(終)
23:
バルガリオ
[2025-01-31 20:24:33]
[×]
これ元ネタある?すごいね。
めちゃ文章うまいから整えてなろうとかに投稿したら良いかもよ
それともプロだったりする?
24:
Heinz Rolleke
[2025-01-31 21:25:36]
[×]
元ネタは七十二候
登場人物全員殺す気でかいてる
趣味で暇な時間ポチポチやってる
なろうはよまない
25:
通りすがりさん
[2025-01-31 22:36:27]
[×]
「それともプロだったりする?」
ガハハガハハガハハガハハガハハガハハガハハガハハガハハガハハガハハガハハガハハガハハ。
お腹いたい
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