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雑談掲示板
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27:
Ghost Finder ThomasCarnacki
[2023-01-08 23:13:20]
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「……ククク」
ハゲコは、きつねを見下ろして笑った。ぼさぼさの髪に隠れていた目元がよく見えた。
「ハ、ハハハ……」
つられて、きつねも笑った。
無邪気に笑った。
楽しかったんだ。
スポーツの爽快感に似たものがあった。
殺し合いを楽しく思ったのは初めてだった。
なぜそう思ったのか、自分でもわからなかった。
「イカれてんぞ、お前」
「言えた口かよ」
列車はとっくに止まっている。逃げようと思えば簡単に逃げられるだろう。
その前に、少しでも情報を集めないと。
そうだ。まだ気絶できない。
気張れよ、俺。一番の踏ん張りどころだ。
そう自分を鼓舞した。
爆破の余波で壊れたのだろうか。天井の照明が頼りなく明滅している。
死闘が嘘のように静かだ。
「名前、教えろ。死ぬ前に」
舌がうまく回らない。いや、それ以上に頭が鈍ってきているのがきつい。集中していないと言葉が聞き取れない。
「先に名乗るのが筋だろ? ダイ・ハード?」
「誰が世界一ツイてねぇ男だよ……きつねだ」
「ふうん、俺はハゲコビーノだよ」
折れた鼻から喉に流れ込んできた血を飲み込んだ。
ハゲコビーノは実に得意気だった。俺がじき死ぬことを微塵も疑っていないらしい。そりゃそうか。死なない人間なんて、いないものな。
きつねは、目を閉じ蹲る様にして床に屑折れた。見えないように口を開け、教科書通りの対ショック姿勢の完成だ。
「惜しいやつをぶっ殺しちまったな」
ハゲコビーノはそう言いながら、手近なドアの上に手を伸ばすと、カバーを開けて中の非常用コックをひねった瞬間。
──車両が爆発した。
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